2005年の上海インデックスは約1000でしたが、2007年10月には6000に達し、明らかにバブルとなりました(チャート)。現在は下がってきていますが、これは経済成長にどんな影響を与えるのでしょうか。

日本や米国、台湾でのバブルの終わりに国内経済がどうなったか、皆さん覚えていますか。非常に強力なデフレ圧力のあるリセッション圧力を受けていました。ただ、ここで重要なのは、中国については次の2点で状況が異なるということです。
一つは、中国の株式市場はレバレッジがきかせられない、あるいは高くないということです。株式投資の大半は、個人投資家がキャッシュで行っています。したがって、株価が下がって強制的にレバレッジを外さなければならないという状況に陥るわけではありません。
もう一つは、株価下落によって資産価値の目減りが起こったとしても、その影響がさほど大きくないということです。

上のグラフは、個人が保有している株の価値と、その金融資産全体に占める割合を示したものです。ここで大事なのは、中国での金融資産における株の割合は、バブルの現在でさえも2007年のアジアの他の国よりかなり小さいということ。個人の金融資産のうち株が占める割合は15%程度です。これが日本や台湾のバブルピーク時なら3~4倍になっていたでしょうし、米国なら少なくとも2~3倍はあったはず。
こうした点を考えると、今年は中国でも株価の下落はあるものの、国際的水準に比べるとその影響はかなり小さいといえそうです。
2000年以降の不動産価格の伸び率をグラフ(上)で見ると、非常に大きく上がってきていますが、現在の中国の不動産市場を語るうえで重要な点は次の2つです。
一つは、直近の不動産価格の伸び率は10%超となっていますが、思い出してほしいのは中国都市部の所得の伸び率が13~15%ということ。所得の伸び率と不動産価格の伸び率を比較して見ると、不動産が国民にとってはどんどん取得しやすいものになっているといえるのです(チャート下)。
もう一つは、不動産価格の中央値、平均値を比べると地域によって大きな違いが見られるということです。 不動産取引が活発なのは、北京や上海、深せん、広東といった大都会の高級住宅地。こうした場所ではたしかにバブルといえるでしょう。定期的に価格が激しく上昇したり下がったりもしています。
しかし、全体で見れば、大都会の取引のシェアはまだまだ小さいもので、全国レベルでバブルが起こっている状況ではありません。したがって、不動産市場が中国のマクロ経済全体に対して大きな影響を与える可能性は小さいといえるでしょう。

中国はこの7年くらいあまりにも過剰に投資し過ぎたため、このプロセスが一巡すると次の7年は新規投資が生まれず、オーバーキャパシティの問題で内需が冷え込むだろうという噂です。私は「すべての過剰投資はリセッションの母」と呼んでいますが、このストーリーは50%の確率で正しいといえるでしょう。
ただ、数字が間違っています。中国が投資過剰だったのは7年間ではなく、3年間。実質の投資の伸び率をチャートAで見ると、2001~2004年初頭までは年平均20~25%でしたが、2004年の真ん中あたりからここ3年間は平均値12%程度と、ずいぶんと下がってきています。 2004~2005年は車、機械、鉄鋼という産業はすべて赤字に転落。それがオーバーキャパシティといわれる時代で、利益、投資額が下がっていきました(チャートB)。
2004~2006年は、たしかに貿易黒字は大きく拡大していますが、これは利益、利益率が下がっていったときと同じ時期。すでにオーバーキャパシティの時代だったということです。
2007年の貿易黒字は横ばいなので、利益率、設備の稼働率を見ても、いずれも同じことを示唆しています。つまり、現在はオーバーキャパシティのピーク、利益率が下がっている状態も終わり、よりバランスの良い方向に回復してきていることが見てとれます(チャートC)。

北京オリンピックが終わり、インフラへの投資をやめてしまったら中国はいったいどうなるのか。皆さんも気になるところでしょう。
グラフ(右)は、過去にオリンピックを主催してきたホストシティの国全体に占める経済規模を示しています。

88年開催の韓国ソウルは、人口が韓国全体の約22%で、GDPは経済全体の約30%を占めています。オリンピックでソウルは建設ブームになり、それが韓国全土に広がり、経済全体に非常に大きな影響を与えました。また、2004年開催のギリシャ・アテネは、GDPが全体の50%も占めていました。
これらの都市に比べると、北京の人口は全体のわずか1%程度で、GDPは全体の2~2.5%と、国全体に占める割合としては歴史に残るほど小さいのです。たしかにオリンピックのための建設ブームは北京にとって非常に大きな問題ですが、それが中国全体の成長率に与える影響は0.1~0.2%程度。オリンピックが終わっても、マクロ経済に大きな変化が起きるとは思えません。
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